わが国の保険制度とインフォームド・コンセント(第 5 回学術大会発表原著)
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概要
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インフォームド・コンセントに限らず、患者とのコミュニケーションを充実させることが必要な問題について、医療従事者の側が躊躇する大きな理由のひとつが医療経済の問題である。わが国の医療保険制度が持っている二重構造すなわち医療費の原価と保険点数の格差を、数少ない資料をもとに注意深く検討してみると、(1)診療行為の人的な側面への評価が非常に低い、(2)病院経営のために外来患者数を増やさねばならない、(3)医師は入院部門より外来部門で多くの時間を費やしているなど、指摘されているようなことが事実であることが分かる。しかしこうしたマイナスの経済的インセンティブは病院経営者に対して働くものであって、個々の医療従事者のものではない。彼らに対しては、インフォームド・コンセントに関する広い裁量権を与えて放置するのではなく、教育や制度に還元しうるような何らかの客観的な管理が必要であろう。
- 日本生命倫理学会の論文
- 1994-10-20
著者
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