看護ケアを捉える文化的枠組みの構築 : 海外文献による文化的視点の明確化
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概要
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本研究の目的は,海外文献(英語論文)から看護ケアを捉える文化の視点を導き出し,構造化することで,文化的枠組みを構築することである。分析対象は,'culture'をキーワードに老人看護,慢性疾患看護を主題としてMEDLINEやCINAHL等のweb版(2000〜2005)から文献検索した24の海外文献で,それらをKJ法の手法を用いて「看護ケアを捉える文化的視点」のテーマに沿って分析した。その結果,【暖昧で特定し難く広がる文化の概念】がある一方で,【生活や生きる世界に織りこまれ浸透している伝統的概念】や【個人が操作することのできない文化の影響】が互いに関係しあっていた。また,【ケアが伝えられる組織・専門家文化による意志決定や価値への影響】と【個人のもつ文化のヘルスケアシステムとの相互作用への影響】が互いに関係しあっていた。したがって,【看護師自らの文化を意識化することによって多様な患者の文化に柔軟で開放的なケア方法の検討】をしており,そこには,【生活や生きる世界に織りこまれ浸透している伝統的概念】【個人が操作することのできない文化の影響】に支えられ,【ケアが伝えられる組織・専門家文化による意志決定や価値への影響】【個人のもつ文化のヘルスケアシステムとの相互作用への影響】が浸透していた。以上の看護ケアを捉える文化の視点を構造化することで文化的枠組みを構築した。これにより,看護ケアを捉える文化的視点が明確になり,文化の視点を考慮した看護ケアを明らかにすることができる。The purpose of this study was to structuralize the viewpoint of culture to extract nursing care from an overseas literature review, and then construct a cultural framework. The subjects were 24 overseas articles. Their articles were selected by a key word 'culture' in articles about chronic illness nursing or gerontological nursing. These selections were carried out in a literature review from the web versions (2000-2005), such as MEDLINE and CINAHL, 7 researchers used the technique of the KJ method and analyzed them along with the theme of "the cultural viewpoint which extracts a nursing care." The results showed [the flexible and open care method was examined in various patients' culture by the consciousness of the nurse's own culture]. This is supported by [the influence of the traditional concept which was incorporated into the life or the phenomenon and has permeated there] and [the culture which an individual cannot operate]. And [the influence on decision making and value by the organization and specialist culture] and [the influence on the interaction of an individual culture and health care system] had permeated through this. By construction of this cultural framework, the cultural viewpoint which makes a nursing care clear, and the nursing care in consideration of the viewpoint of culture can be clarified.
- 2006-06-30
著者
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