翼後縁形状とカルマン渦に関する実験的研究

概要

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プロペラの鳴音の原因には,次の3つがあると考えられている。すなわち,(1)翼の後縁から流出するカルマン渦列(2)翼のフラッターによる自励振動(3)スタンチューブベアリングの摩擦である。しかし,一般には,(1)の翼の後縁から流出するカルマン渦列の発生周期と翼の固有振動数とちょうど一致する場合が最も可能性が高い。この現象は最初,1952年にGongwerによって発見され,KriwzoffやPenikらによって後縁厚みと鳴音の関係が実験的に調査された。また日本においても鳴音の発生メカニズムの防止方法についての鬼頭の研究がある。このように,鳴音に関する研究は非常に古く,またこれ以降,特に目新しい研究もされていないようである。一方,鳴音の防止方法として翼の後縁形状に鳴音の発生しにくい形状を採用することで,ほとんどの場合,この問題を解決しているが,鳴音の発生原因から考えると,翼の固有振動数がカルマン渦の発生周波数と一致しないようにプロペラを設計して鳴音を避けることも考えられる。ところが,翼の振動モードはかなり複雑でかつ高次であるので,現実にそのような設計をすることが不可能に近く,これが,殆んどのプロペラの後縁には鳴音加工と呼ばれる対策が施されている理由となっている。この鳴音加工には,カルマン渦が対称物体の後部に発生する交ばん渦である性質を利用して翼後縁形状を故意に非対称にすることでその発生を防止しようとするタイプと,カルマン渦の発生周波数を後縁の厚みを変えることによってシフトさせるタイプがある。本研究では,鳴音加工に使用される後縁形状として,これらの代表的な2種をとりあげ,それぞれの効果について実験的に調査した結果を報告する。
1990-03-15

翼後縁形状とカルマン渦に関する実験的研究

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