ホンダワラ類流れ藻の生態学的特徴(シンポジウム:海洋生物の漂流-沿岸からの輸送と生態-)
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概要
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海面に浮遊している藻類や海草のパッチは流れ藻と呼ばれ,世界の海で見られる.日本周辺では,ホンダワラ類がそのほとんどを占めている.ホンダワラ類は,葉が変形し,内部にガスを貯め浮力を得ることのできる気胞を有しており,繁茂期には数メートルにまで成長する.沿岸から波などにより引き剥がされた後,その多くは海面を漂流し,流れ藻となる.東シナ海の流れ藻の起源を,固着期と流れ藻期のアカモクの分布調査,遺伝子解析,衛星位置追跡ブイ調査をもとに推定した.その結果,中国浙江省沖合域の島嶼沿岸から流出している可能性が示された.ホンダワラ類の流れ藻は,漂流中も光合成,成長などの生物活動を行っている.伊豆半島下田地先のガラモ場での現地調査および陸上水槽実験を通じて,流れ藻の発生時期とその量,成長,成熟,光合成速度,浮遊期間を調べた.最後に,ホンダワラ類にとっての流れ藻期の生態的意義について議論した.
- 2009-02-27
著者
-
杉本 隆成
東海大海洋
-
福田 正浩
東京大学海洋研究所
-
小松 輝久
東京大学海洋研究所
-
青木 優和
筑波大学下田臨海実験センター
-
上井 進也
新潟大学大学院自然科学研究科自然システム科学
-
道田 豊
東京大学海洋研究所
-
三上 温子
東京大学海洋研究所
-
鰺坂 哲朗
京都大学大学院農学研究科海洋環境微生物学分野
-
田中 克彦
海洋研究開発機構横浜研究所
-
國分 優孝
東京大学海洋研究所
-
田中 潔
東京大学海洋研究所
-
杉本 隆成
東海大学海洋研究所
-
道田 豊
東大 海洋研
-
道田 豊
東大海洋研
-
青木 優和
筑波大学大学院生命環境科学研究科
-
田中 克彦
海洋研究開発機構国際海洋環境情報センター
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