低酸素状態再現のために解糖系を導入した心筋細胞モデルの構築(生体工学)
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概要
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心臓は非常に多くのエネルギーを消費して血液を拍出しており,心筋細胞におけるエネルギー代謝と,心筋細胞の興奮収縮連関の関連性の解明は,病態解明等のために重要なテーマである.特に虚血性心疾患は,細胞への酸素供給低下により,細胞に異常を来す疾病であり,このような疾病における心機能の低下は,第1に酸素濃度の低下によって生じるエネルギーバランスの不均衡が原因と考えられている.虚血時の心機能の低下の主たる原因である低酸素に対する心筋細胞の応答を再現するためには,低酸素状態で活性化される解糖系が重要である.しかしながら,現在提案されている心筋細胞モデルは,解糖系が導入されていないために,低酸素状態の再現性に問題がある.本研究では,低酸素に対する心筋細胞の応答を再現するために,モルモットの心筋細胞モデルであるKyoto modelに解糖系を導入した新たな心筋細胞モデルを構築した.構築したモデルを用いて,動物実験の実験条件に従ったシミュレーションを行い,非ペーシング状態の心筋細胞における低酸素に対する応答の再現を試みた.再現結果は,対応する動物実験結果の傾向と高い類似性を示した.
- 2010-03-01
著者
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松田 哲也
京都大学大学院情報学研究科医用工学分野
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天野 晃
立命館大学生命科学部
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冨田 幸子
京都大学大学院情報学研究科
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松岡 達
京都大学大学院医学研究科
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嶋吉 隆夫
財団法人京都高度技術研究所
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陸 健銀
京都大学細胞・生体シミュレーションプロジェクト
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松田 哲也
京都大学大学院情報学研究科
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嶋吉 隆夫
三菱電機株式会社産業システム研究所
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Matsuoka Satoshi
京都大学 医学研究科循環器外科
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天野 晃
京都大
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天野 晃
京都大学 大学院 医学研究科 細胞機能制御学
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SHIMAYOSHI Takao
Cell/Biodynamics Simulation Project, Kyoto University
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Matsuoka Satoshi
Area Of Biochemistry And Molecular Biology Division Of Life Science Graduate School Of Science And E
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天野 晃
立命館大学生分科学部
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天野 晃
立命館大学 生命科学部
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