三次元指尖部モデルを使用した爪の変形の有限要素解析
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概要
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爪は,物を掴む,歩くなどの行動において重要な役割を担っているが,爪の構造や力学的特性は,解明されていないのが現状である.特に爪に力が加えられたときに生じる損傷の解明は,損傷の予防法の開発にもつながると考えられる.そこで本研究では,有限要素法による爪の構造力学解析を行うことにより,爪への荷重の方向と大きさが爪の変形にどのように影響するかを検討した.研究では,拇指の指尖部から1.5 cm を切り出し,爪,皮膚,皮下組織,骨からなる三次元の有限要素モデルを構築した.次にモデル内部を28,454 節点,18,132 要素に分割し,組織ごとに力学的物性値を設定した.なお,切断面上に作成した節点を拘束することにより切断面での変位が無いと仮定した.結果,爪先端に上方向に1N の荷重を加えると爪は最大で1 mm の変形を生じるが,5N の場合は捲れ上がるように最大7 mm の変形を生じた.また爪と皮膚との接合条件を完全接合としたために,爪に接合している皮膚のヤング率が爪の変形に影響することも明らかになった.しかしながら,皮膚のヤング率は水分量等により異なるのが現状であり,また実際には爪と皮膚は完全に接合しておらず,ある程度の荷重で剥がれる.したがって,今後,使用した各組織のヤング率を再検討するとともに,爪と皮膚との接合についても実際に近い条件を見つけ出す必要があると思われる.
- 2009-03-31
著者
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