高齢者介護施設における転倒事故防止のための人体検出装置の有用性について
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概要
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要介護度1以上の高齢者が入所する特別養護老人ホームでは, 看護師やヘルパーが24時間体制で介護を行っているが, 夜間は監視体制が不十分になるために, 時として徘徊等から転倒事故が発生しているのが現状である. 夜間の転倒事故を防止するためには, 人感センサ等を部屋に設置し, 行動を監視することが考えられる. そこで本研究では, 簡単な構造の人体検出装置を介護施設に設置し転倒事故を防止するとともに, その有用性について検討した. 特別養護老人ホームにて夜間転倒事故を起こす入所者の部屋に人体検出装置を設置し, 観察を行った. 軽度の痴呆症状を呈する入所者の部屋に, 赤外線センサによる人体検出装置を設置し, 夜間に人体を感知すると既存のナースコールを鳴らすようにした. 人体検出装置設置後は, 介護者により入所者を観察, 記録した. 記録には, ナースコールの時刻とその時の入所者の状況, 排尿の有無, 睡眠時間や日常生活動作の変化などを記入した. また, 夜間巡回時に特に変化がある場合は, その状況も記録した. 結果, 月平均2件の転倒事故が, 取り付け後0件に減少した. また排尿が集中している時間帯が明らかになり, 検出装置取り付け以前の排尿誘導時間に1〜3時間のずれが生じていることも判明した. 検出装置取り付け後は, (1) 安心して睡眠が取れるようになった, (2) 昼夜逆転していた生活リズムが正常に戻った, (3) 表情が明るくなり活動的になった, などの変化が入所者に見られた. 今回使用した赤外線センサを利用した人体検出装置は, 簡単な構造で設置も誰にでもでき, しかも安価で維持費も安いという特徴を持っている. したがって今後, 特別養護老人ホームや医療施設などでは非常に有用であると思われる. しかも高齢者の行動を把握するだけでなく, 介護者の負担の軽減とそれに伴う安心感, 介護方法の改善などに大いに役立つと考えられる.
- 2005-03-31
著者
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影山 芳之
東海大学開発工学部医用生体工学科
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森田 敦
社会福祉法人三保会特別養護老人ホームひだまりの郷
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影山 芳之
東海大 開発工
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影山 芳之
東海大学
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影山 芳之
医用生体工学科
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町田 洋子
医用生体工学科
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