B型肝炎ウイルスのコアプロモーター活性と急性B型肝炎の重症度との関連

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[目的] 劇症肝炎を含む,急性B型肝炎のcore promoterの塩基配列を解析し,さらに,肝炎の重症度と変異株のpromoter活性の相関につき検討を行った.[対象と方法] 劇症肝炎(FH)7例,重症急性肝炎(SAH)5例,急性肝炎(AH)6例を対象とし,core promoter,precore/coreを含む領域をPCR法で増幅したのち,増幅産物をpGEM-5Zへサブクローニングし,最低5クローンの塩基配列を調べた.また,すべての症例のcore promoterを含む領域のPCR産物をCAT enhancer vector(Promega)に挿入し,リポフェクチン法で培養肝細胞(Huh7)にトランスフェクションした後,QUAN-T CAT(Amarsham)を用いてpromoter活性を測定した.[結果] core promoter領域の変異はFHで平均4.6個,SAHで3.4個,AHで0.5個と,重症化に伴い頻度が増加した.nt 1762とnt 1764のA→T,G→Aのいわゆるdouble mutation(MT62, MT64)は,FH 7例中2例,SAH 5例中3例に認めた.またFH 5例,SAH 2例にnt 1773のC→T(MT73)の変異を認めたが,FHあるいはSAHの全例に共通する変異はなかった.次にcore promoterの変異株のpromoter活性をCAT assayで調べたところ,野生株(WT)で3202 ± 122cpm,MT62,64,73 : 3625 ± 746cpm,MT62,64:3699 ± 122cpm,MT73 : 3027 ± 570cpmであり,そのほかの変異のパターンを持つ症例でも,WTと比較しpromoter活性の低下,あるいは亢進のいずれも認められなかった.[考察] core promoter領域の変異は,重症度と相関することから,肝炎の重症化との関連が示唆された.しかし,我々の用いたアッセイ系ではpromoter活性に差がみられず,重症化の要因は転写活性の変化とは別の機序によると考えられた.
東京女子医科大学の論文
2001-04-25

B型肝炎ウイルスのコアプロモーター活性と急性B型肝炎の重症度との関連

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