在日コリアン高齢者の認知症と言語に関する検討
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概要
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在日コリアン認知症高齢者はその発症・進行に伴い,母国である韓国・朝鮮語(以下朝鮮語)での会話が主になるといわれるが,その報告はほとんどない。本研究は,朝鮮語の会話が主になっている在日コリアン認知症高齢者に対し,ADLや認知症レベル,抑うつ,渡日歴や識字などを調査することにより,認知症状と言語に関する関係を明らかにすることを目的とした。2007年10月,大阪市内の介護老人保健施設利用者6人とその家族に対し半構造的面接を行った。対象は全て女性で平均年齢は88.6歳,平均介護度は2.3であった。施設入所者が3人,在宅(デイケア利用者)が3人であり,全員が在日1世であった。6人全員が学齢期に未就学であった。認知症レベルについて,HDSR(日本語)の平均点数が5.5,HDSR(朝鮮語)が5.8であり,朝鮮語での質問の方が回答時間も短かった。抑うつについて,GDS5(日本語)の平均値は2.3,GDS5(朝鮮語)の平均値は1.7であった。在日コリアン認知症者は,識字率が低く日本語の理解よりも朝鮮語での理解力が高いと考えられ,コミュニケーションの手段としての朝鮮語の重要性が示唆された。
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