「慢性疾患の病みの軌跡」モデルに関する文献検討 その2
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概要
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ストラウスとコービンが1987年に提示した「慢性疾患の病みの軌跡」看護モデルにおいては、慢性の病いを持つ人間の反応を一つの「行路」と捉え、病気や慢性状況の行路を「軌跡」とした。このモデルは「慢性の病気を持って生きること」への深い洞察や理解に役立つため、看護実践・教育・研究・政策決定への活用が期待される。その発展の経緯を理解し、どの程度検証され、有用性が確認されているかを明確にすることを目的に文献研究を実施し、国内文献の結果を2006年に第一報として発表した。今回は同様に海外文献の検討を報告する。"illness trajectory"と"nursing"とをキーワードとして収集した91文献中、本モデルに関連があった33件の内訳は、解説あるいは総説が6件、研究論文が24件、文献検討が3件であった。病みの軌跡モデルの検証を目的とする文献や、研究の枠組みとして使用されたもの、あるいは特定の病気、ライフステージ、軌跡の局面に限定した対象についてモデルを検証する文献がみられ、国内文献よりも有用性を追求する研究傾向にあった。また、臨床で使用するには用語の定義を含め、概念をより明確化する必要があるとの指摘が多くみられる一方、現在の治療中心の短期的医療ケアパラダイムを、病気の文脈に注目した長期で当事者中心の枠組みに移行させる根拠を与えるとの評価が共通していた。今後は国内文献と併せ、検証の詳細を統合させていく必要がある。
- 2009-09-30
著者
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