腹膜透析患者と家族のQOLおよび家族の介護負担の実態
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概要
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目的 腹膜透析(以下PDと略す)患者とその家族のQOLの関係および家族の介護負担を明らかにする。方法 対象は、2002年3月、PD患者会主催の研修会に参加したPD対象者26人とその家族34人。対象者のQOLは、腎疾患健康関連QOL尺度KDQOL-SF^<TM>、家族はSF-36を使用。家族の介護負担度はZarit介護負担尺度(ZBI)を用いて測定した。他の調査項目は、PD歴、治療法、年齢、性別、病歴である。質問紙は郵送で回収した(回収率81.7%)。結果 PD対象者の平均年齢49.0歳(SD=15.6)。家族の平均年齢46.6歳(SD=15.4)。家族の介護負担平均得点は、12.5(SD=11.8)点であった。これは、痴呆を介護する家族の負担度より低かった。また、SF-36下位尺度8項目の中で、PD対象者・家族共に最も低かったのは、全体的健康感「GH」と活力「VT」であった。さらに、患者は、SF-36下位尺度8項目のすべての項目で家族の平均得点より低かった。PD対象者と家族でSF-36下位尺度8項目の平均値に有意差があったのは、身体機能「PF」、身体の日常役割機能「RP」、精神の日常役割機能「RE」、全体的健康感「GH」と社会生活機能「SF」であった。国民標準値と家族のSF-36とを比較すると、家族は、「SF」と「RE」および心の健康「MH」が低かった。結論 QOLの観点からみると、PD対象者は、社会生活機能面での障害が生じており、また、家族は、精神的な健康度が低いことが明らかとなった。PD患者や家族のQOLが向上できるように積極的な看護介入の必要性が示唆された。
- 日本赤十字九州国際看護大学の論文
- 2004-02-28
著者
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