1)乾燥BCGワクチンの製造過程に於けるBCG形態の変化 : 電子顕微鏡像
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概要
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[実験目的]乾燥BCGワクチンを製造する過程に於て種々の外的処理が菌体に如何なる影響を与へるかを電子顕微鏡を用いて比較観察した。[実験方法]ソートン2代10日培養上の菌膜よりBCGを集菌し濾紙間に挾み150Kg/cm^3瞬間圧で脱水し、半湿菌を小ガラス玉を入れた手振コンベンに入れ約200回転/min4分間手振磨砕した。これに1〜0.3%グルタミン酸ソーダ或は庶糖溶液を加へて菌懸濁液を作りアンプルに1.5mg/0.5cc宛分注し真空冷凍乾燥機(共和応用)にて完全に乾燥する迄30分毎に4時間に亘りサンプルを作つた。以上の各過程に於て電子顕微鏡で菌の形態的変化及びghost cellの%を比較検討した。その方法はコロジオン膜を張つたシート・メツシュ上に菌液を滴下し室温乾燥した後、クロームシヤドーインクをほどこして日立HV 10型電子顕微鏡で撮影した。[結果]ソートン培地上の菌は形態上ふつくらして大きく高低がなめらかでghost cellの割合は18.6%であつた。半湿菌では菌体の高低(凹凸)が激しく脱水された状態となるが、これを蒸溜水に再びつけると膨化してくる。手振磨砕后こわれた菌体が多くなり、ghost cellの割合は49.5%となる。更に凍結乾燥過程に於ては、この状態は特に著しい変化はみられなかつた。又グルタミン酸ソーダと庶糖溶液によつても殆んど差はみられなかつた。[結論]乾燥BCGワクチンを製造する過程がBCG菌体に如何なる影響を与へるかを電子顕微鏡を用いて比較検討した。1)半湿菌は菌の高低(凹凸)が激しいが、菌を溶液に懸濁すると菌体の高低がなめらかとなりふつくらと大きく膨化してくる。2)菌を小ガラス玉で手振磨砕すると菌の破壊が大きくghost cellの割合が18.6%より49.5%に増加する。3)凍結乾燥そのものでは、特に形態上の著しい変化や、ghost cellの増加はみられなかつた。
- 低温生物工学会の論文
- 1961-04-08
著者
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海老名 敏明
東北大学抗酸菌病研究所
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長谷部 栄佑
東北大 抗酸菌病研究所
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海老名 敏明
東北大学洸抗酸菌病研究所
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萱場 圭一
東北大学洸抗酸菌病研究所
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福士 主計
東北大学洸抗酸菌病研究所
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長谷部 栄佑
東北大学洸抗酸菌病研究所
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