12. 共晶生成による致死作用に及ぼす温度の影響(昭和56年度第27回凍結及び乾燥研究会特別講演および研究報告)

概要

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微生物の凍結障害の原因については,細胞内凍結とその成長によるもの,細胞懸濁液の濃縮によるもの,細胞の脱水収縮によるものなどが明らかにされている.しかし,細胞懸濁液の共晶生成との関連において凍結障害を論じた報告は,動物細胞ではウニの卵,ポプラハバチの幼虫での報告があるが,微生物においては,Mazurの否定的な報告を除き全く見られない.著者らは前報において,NaCl水溶液の共晶生成と酵母の凍結障害について報告し,共晶を生成することにより生存率が急激に低下すること,また,この現象は食塩のみならず他の数種の化合物の水溶液にも見られることを明らかしてきた.しかし,CaCl_2については共晶点前後での生存率に全く変化が見られず,共晶の生成と酵母の死滅の間には,まだ,未知の要因の存在することが推定された.本報では,共晶生成による致死作用の現われる化合物と現われない化合物の存在する理由,更には共晶生成による致死機構について,共晶生成温度との関連から検討し,共晶生成に伴う致死作用には致死温度帯が存在することを見出したので報告する.
低温生物工学会の論文
1981-09-20