細菌によるp-オキシ安息香酸よりフェノール生成
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概要
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1917年及び1918年にM.Rheinはフェノール生成の研究に於いて,Bact. coli phenologenesを大便より分離し,この菌をアスパラギン,乳酸アムモニウム,第一燐酸カリ,硫酸マグネシウム,水からなる合成液体培地中にチロジン或はp-オキシ家息香酸を添加した試験液に作用させ,この試験液につき直接Marquisのフォルム・アルデヒド硫酸試験の重畳法を行つた。この方法ではフェノールが存在すると白色溷濁の上に紫赤色の輪が接触面に生じ,p-クレゾールが存在すると暗褐色の輪が生じ,フェノール及びp-グレゾールが存在しない試験液では無色であるが,試験液を振盪混和すると緑褐色の色を生ずると述べ,この方法で彼の分離したBact. coli phenologenesはチロジン及びp-オキシ安息香酸からフェノールを生成する事を証明したと述べ,更にまた試験液中よりフェノール蒸溜して,それをトリ・ブロム・フェノールの結晶として取出し,チロジン及びp-オキシ安息香酸からのフェノール生成を報告している。しかし近年Stanier & Sleeperは,Pseudomonas fluorescensを用いて適応酵素の研究をなし,そこでp-オキシ安息香酸とフェノールとの代謝経路はそれぞれ別のものであると結論している。即ち酸素消費より観察して,Pseudomonas fluorescensをフェノールに適応させたものは,カテコールに作用するが,p-オキシ安息香酸,プロトカテキン酸には作用せず,またp-オキシ安息香酸に適応させたものは,プロトカテキン酸に作用するが,フェノール,カテコールに作用しない。これらの結果から該菌のフェノールとp-オキシ安息香酸の酸化的分解過程は互に異り,フェノール→カテコール→βケトアヂピン酸の経路と,p-オキシ安息香酸→プロトカテキン酸→βケトアヂピン酸の経路があるという。ベンゼン核が開裂して,βケトアヂピン酸となると認めているが,p-オキシ安息香酸とフェノールの代謝経路はそれぞれ別のものと言うことになる。著者は体内に於けるチロジンよりフェノール生成の機序を研究する際,大便中の菌叢からp-オキシ安息香酸よりフェノールを生成するが,チロジンよりはフェノールを生成しない菌を分離し,それにつき新知見を得たので報告する。
- 千葉大学の論文
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