発達障害を発達精神病理学的視点からとらえる(シンポジウム:思春期の心身症と心身医学的発想,2008年,第49回日本心身医学会総会(札幌))
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概要
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発達障害とは,人間の一生涯にわたって身・知・心の面に現れてくる成長・変容の経過に「何らかの負の様相」が人生の早期に生じ,その後の成長・変容に何らかの影響を持続的に及ぼしている状態である.そのうえで,発達障害の世界を固定的なものとせず,病的機能モードと非病的機能モードとのあいだを往復するものという発達精神病理学的視点に立ち,障害が顕在化されるということは,なにかしらの環境状況で適切な応答ができず,本来持ち続けてきた傾向が一気に問題化したと理解する.医学モデルの台頭と発達障害への高い注目から,専門家が強く現場に求められる風潮があるが,こうした時代だからこそ,われわれは,一人ひとりの生き様に寄り添い,科学的理論と生活的支援のありようが乖離しない支援として,発達障害の有無に拘泥するだけではなく,「あなたを苦しめているのは何ですか」という,まさに心身医学的問いかけから始めるべきではないだろうか.
- 日本心身医学会の論文
- 2009-03-01
著者
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