固定式矯正装置装着患者へのカリエスリスク検査導入の有用性に関する研究

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矯正患者ではう蝕やエナメル質脱灰による白斑が増加することが報告されている.しかしながら,わが国における矯正患者へのカリエスリスク診断や,リスク管理が充足しているとはいえない.本研究の目的は,固定式矯正装置装着患者のう蝕および,エナメル白斑発症に関連したう蝕リスク因子を特定し,矯正患者へのカリエスリスク検査導入の有用性について検討することである.対象は固定式の矯正装置による治療を予定している49名の患者とした.ベースラインと矯正治療中のう蝕リスク因子の割合,矯正治療中のう蝕またはエナメル白斑発症有無別の,う蝕リスク因子の割合について比較検討した.その結果,矯正治療中は細菌に関する因子が変化しており,治療中にはMutans streptococci(MS)菌数および乳酸桿菌(LB)菌数のレベルが高くなっていた(p<0.01).矯正治療中のう蝕発症には,矯正治療前のMS菌数とLB菌数クラスを加算したスコアが有意に強い関連を示していた(p=0.008).一方,エナメル質白斑の発症には,矯正治療中のMS菌数レベルが有意に関連していた(p=0.049).以上より,矯正治療前のカリエスリスク検査により,患者のう蝕発症を,矯正治療中のカリエスリスク検査によりエナメル質白斑の発症を予測できる可能性が示唆され,カリエスリスク検査実施が矯正患者にとって有益であることが示唆された.
2009-01-30

固定式矯正装置装着患者へのカリエスリスク検査導入の有用性に関する研究

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