試行の歴史社会学・試論3 : 所有と不平等
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概要
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本論は先史時代における所有の出現と平等/不平等の関係を人間の試行という観点から検証する。一部の人類学者は近年,農業革命以前の狩猟採集社会にも所有が存在していたと主張している。また,ある種の類人猿には原初的な所有意識が存在することが霊長類学者により発見されている。これらの研究はまた,所有自体が必ずしも不平等の要因になるわけではないことも示している。では,いかなる所有のシステムが平等を維持するのか?ある狩猟採集社会では,全ての構成員が他者に対して所有物の分配を要求する権利と自己の所有物に対する他者からの分配要求に応える義務を有しており,特定の個人による所有物の永続的占有が阻止されている。そこでは,所有物は構成員間の試行のメディアとなっており,所有物を媒介に彼らは他者との関係をテストし,定義し,再構成するのである。平等な関係を維持するには,その試行が相互に対称的で可視的でなければならない。
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