試行の歴史社会学・試論2 : 試行としての農耕・牧畜
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概要
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本論は,私の先行論文「試行の歴史社会学・試論1」の続編である。本論では,農耕・牧畜の開始及び展開という歴史的事象が,いかなる背景や条件の下に生起し,いかなる影響を人間生活に与えたのかを,人間の試行としての農耕・牧畜という観点から考察する。主張の要点は以下の通りである。農耕・牧畜は試行として始まり,試行として展開した。その動向には必然性も一様性もない。それゆえ,農耕・牧畜の歴史的意義は,その開始ではなく,不可逆的な定着に求められなければならない。農耕・牧畜が試行として成立するには,人間と動植物の空間的な近接性と人間社会の高度な文化的水準が必要条件として考えられる。しかしまた,非能力的な文化的要因や政治的,社会的,環境的要因などを含め,複合的に検証する必要がある。農耕・牧畜の定着は,時間と空間の管理によって試行のリスクを低減したが,それは同時に,人間そのものを管理する自己言及的効果を伴った。
著者
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