「教育情報」の視点による「コーチング」論再考 : ブラジル・プロフェッショナル・サッカー指導者の指導実践を対象として

概要

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スポーツ選手の熟達化に向けての指導者の関わりとして捉えられるコーチングは、単にスポーツの技術を実施指導することではなく、コーチングの作用の受け手となる選手個人または集団に働きかけ影響を及ぼし変化を引き起こす中で意味や価値を生み出すものとして捉えることが重要である。本稿では、こうしたコーチングを「対象者の主体的な取り組みによって自身の能力を伸ばし問題解決をはかるための行動を形成する作用力であり、教育的情報のやりとりの相互関係の中で意味や価値が生み出されるもの」として捉え、「教育情報」という視点から指導実践および指導概念の整理を試みた。調査はブラジルのプロフェッショナル・サッカークラブで指導にあたっている12名の監督及びコーチによる指導実践及び指導観を対象とし、構造的、自由回答的インタビューにより実施した。分析の結果、スポーツ選手の熟達化に作用するコーチングは、「熟達化」、「意識化」、及び「支援」の3つのカテゴリーによって構成されることが明らかにされ、それ等が「意味を帯びた知」としての「教育情報」の大カテゴリーに集約されるに至る相互の位置づけが検討された。