北海道における2007年のタンチョウ繁殖状況
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概要
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北海道に生息するタンチョウ Grus japonensis の繁殖状態を、2007年4-5月に航空機を用いて調査した。道北と道東で合わせてこれまで最多の354繁殖番いを見つけ、対前年比増加率は18.4%であった。番い数は十勝、釧路湿原、別寒辺牛川、風蓮湖の各地区で地区最多数を記録し、特に釧路湿原でこれまで最多の101を超える123番いを記録したのが今年の特徴である。新規営巣地点とみなした29ヶ所のうち、20ヶ所が分布域の拡大を示し、営巣地分布の南限は約5.5km南へ伸展した。営巣環境タイプ別頻度は全体で前年とさほど変わらなかったが、十勝や釧路湿原地区で、樹林に囲まれた環境や樹林内の営巣が増加を示した。湿原面積における繁殖番い密度は全体で0.68番い/km^2に上昇し、最も高密度の十勝地方が2.22番い/km^2であったのにたいし、釧路地方は0.56番い/km^2であった。発見した繁殖番いのうち86.2%(N=305)が4月に繁殖活動を行なっており、そのとき就巣していた番いの16.8%が5月に雛を連れていた。再営巣とみなしたのは16ヶ所で、総繁殖番いの4.5%を占め、前年の半数であった。5月の調査時点における雛数は63羽であったが、それを除いた推定最多生息数は818羽で、2007年の越冬個体群に対する発見率は67.4%を示し、最近5年間で最も低い割合であった。
著者
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松本 文雄
阿寒国際ツルセンター
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正富 欣之
北海道大学大学院地球環境科学研究院
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正富 宏之
専修大学北海道短期大学
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古賀 公也
阿寒国際ツルセンター
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百瀬 邦和
専修大学北海道短期大学
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古賀 公也
九州大学農学部動物学教室
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百瀬 邦和
山階鳥類研
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