2006年の北海道におけるタンチョウの繁殖
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概要
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北海道に生息するタンチョウGrus japonensisの繁殖状況を2006年4-5月に航空機を用いて調査した。道北と道東で合わせて299繁殖番いを記録した。番い数の対前年比増加率は-2.9%であったが、十勝と霧多布の両地区で過去最多を示した。新たな地点での繁殖とみなしたのは25番いで、このうち16番いが分布域の拡大に関与していた。推定湿原面積における繁殖番い密度は、平均0.66番い/km^2で、十勝地方は2.09番い/km^2と高く、釧路地方は0.45番い/km^2に過ぎなかった。営巣地点の景観的環境は、草本湿地や低・高木の散在する開けた場所が69.1%(N=301)で、湿地ハンノキ林内の営巣が5.3%を占めたほか、1番いが使用中の採草地に巣を造った。4月には総繁殖番いの78.6%(N=299)しか繁殖活動を始めておらず、5月には4月に就巣した番いの26.5%(N=234)が雛を連れていた。再営巣した番いは総繁殖番いの8.0%で、5月調査時点の雛数は81羽であった。今年4月の営巣数は十勝、釧路湿原、別寒辺牛川の各地区で著しく少なかったが、5月にはかなり回復した。おそらく、4月から5月初めにかけての多雨や4月の釧路湿原における飛行の制約が関わったと思われる。
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