2005年春の北海道におけるタンチョウの営巣
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
北海道で、2005年4-5月に空からタンチョウGrus japonensisの営巣状況を調査した。道北のサロベツ原野で前年に続き営巣した1番いを含み、今春は過去最多の308繁殖番いを記録した。このうち25番いは新たな地点で繁殖し、分布域の緩やかな拡大傾向と、従来の繁殖域内における高密度化の進行を認めた。繁殖番い数の前年比増加率は9.2%で、十勝、釧路湿原、風蓮湖の各地区で過去最多を示した。現存湿原面積における繁殖番い密度は平均0.68番い/km^2であったが、地域差があり、十勝地方の1.91番い/km^2に対し、釧路地方は0.49番い/km^2であった。また、小湿地や沢沿い湿地の巣は、広がりのある湿原や湖・海岸沿い湿原の巣より巣間距離は長かった。営巣地点の景観的環境は、草本湿地や低・高木の散在する比較的開けたところが74.3%で、ハンノキ林内の営巣は3.2%(N=10)であった。4月に総繁殖番いの90.6%(N=279)が繁殖活動中で、4月の就巣番いの21.7%(N=60)が5月に雛を連れていた。再営巣番いは総繁殖番いの8.4%(N=26)で、その数には地域差があり、根室で高い割合を示した。
- 2005-12-30
著者
-
松本 文雄
阿寒国際ツルセンター
-
正富 欣之
北海道大学大学院地球環境科学研究院
-
古賀 公也
阿寒国際ツルセンター
-
冨山 奈美
阿寒国際ツルセンター
-
百瀬 邦和
タンチョウ保護調査連合
-
古賀 公也
九州大学農学部動物学教室
-
百瀬 邦和
山階鳥類研
関連論文
- 北海道のタンチョウ標識個体における性比
- 北海道東部における2003年春期のタンチョウの繁殖
- タンチョウと共存するためにこれから何をすべきか
- 北海道における2007年のタンチョウ繁殖状況
- 2006年の北海道におけるタンチョウの繁殖
- 2005年春の北海道におけるタンチョウの営巣
- 中国のタンチョウ越冬地「塩城自然保護区」における現状と課題
- 2008年の北海道におけるタンチョウの繁殖状況
- 2004年の北海道におけるタンチョウの繁殖状況
- 野生タンチョウGrus japonensisにおけるコクシジウム感染
- 北海道における2002年春のタンチョウの繁殖
- 北海道東部に生息するタンチョウの2001年春の繁殖状況
- ロケットネットによるタンチョウの捕獲と発信器の装着
- 2000年春の北海道東部におけるタンチョウの繁殖
- 北海道における1999年のタンチョウの繁殖活動
- 1989年の繁殖期におけるタンチョウの営巣 (山階芳麿博士追悼号)
- 長崎半島に生息するトビMilvus migrans lineatusの繁殖生態〔英文〕
- フタトゲチマダニ雌成虫における軟らかい皮膚の吸血に伴う形態変化
- トビMilvus migrans lineatusの成長と発育〔英文〕
- トビMilvus migransの育雛行動
- 北海道におけるタンチョウの1997年と2007年の営巣環境
- 学校が保有する鳥類標本の実態に関するアンケート調査
- トビ--トンビがさらった油揚げ
- 帰納的学習を用いた構文解析手法の旅行用英会話文における性能評価
- 帰納的学習を用いた構文解析手法の旅行用英会話文における性能評価
- 模擬対話音声コーパスの書き起こし文における帰納的学習を用いた構文解析手法の性能評価
- 実例からの帰納的学習を用いた構文解析手法
- ユーザとの対話による深層格獲得システム
- ユーザとの対話による深層格獲得システム
- ユーザとの対話による深層格獲得システム
- 形態素・構文解析情報を用いた深層格分類
- 北海道における40年間のタンチョウの航空調査と繁殖番い発見率
- 一般化線形モデルを用いた北海道におけるタンチョウの営巣適地推定