犬のエンドトキシンによる血球反応に於ける血漿成分の関与(I.大学院重点特別・研究科特別経費,平成18年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)

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血漿を含まない人工培地に浮遊した犬の顕粒球にエンドトキシン(LPS)刺激に加えると一過性に活性化が起きる。本研究ではこの類粒球反応に対する血漿成分の影響について調べた。血漿を類粒球浮遊液に加え,LPS刺激による顆粒球活性化をルミノール発光反応により観察したところ,血漿は上記の一過性顆粒球活性化を抑制し,数分後に非可逆的な活性化を起こした。この非可逆的反応がLPS刺激で活性化する血漿中補体によるものと推定し,その確認のために血漿に抗補体処理を施して同様の実験を行った。その結果,LPS刺激による顆粒球の非可逆的活性化反応は顕著に抑制され,この顆粒球反応は補体による可能性が強く示唆された。血漿存在下でのLPS刺激の際に血小板を添加すると,顆粒球の活性化は顕著に抑制された。これはおそらく,犬の血小板表面に存在するであろうと言われる補体リセプターを介し活性化補体が除去された結果と考えられた。さらに,LPS誘導による犬の顆粒球反応に人の赤血球を添加したところ,犬の血小板を添加した場合と同様に顆粒球活性化は有意に抑制された。犬の赤血球と人の血小板にはそのような作用は認められなかった。霊長類動物では赤血球表面に存在する補体C3bリセプターCR1が活性化補体の除去に重要な役割を果す事が知られており,この結果は,犬の血小板表面に補体リセプターがLPS刺激により活性化した補体を除去している可能性が高い事を裏付けた。
麻布大学の論文

犬のエンドトキシンによる血球反応に於ける血漿成分の関与(I.大学院重点特別・研究科特別経費,平成18年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)

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