イヌの免疫介在性血小板減少症に対するIgG大量静注(IVIG)療法の検討(研究科分,平成15年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
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概要
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近年,免疫介在性溶血性貧血,血小板減少症,あるいは骨髄線維症などの免疫介在疾患の犬に対して,ヒトの免疫グロブリン(h-IVIG)療法が用いられるようになっている。この治療法の主な副作用として,血栓症の発現が危惧されているが,それについての詳細な検討は行われていない。そこで我々は,実験的にIVIGを投与した犬の凝固系検査と血小板凝集試験を実施して,本療法による血栓症発現リスクについて検討した。2頭のビーグル犬にヒトIgG製剤を1g/kg静脈内投与した。その結果,2頭に共通して,末梢血の白血球数と血小板数は投与開始2〜4時間後に減少し,その後も数日間持続した。フィブリン/フィリノーゲン分解産物も,IVIG投与開始8時間後から24時間後にかけて増加した。また,1頭において顕著なフィブリノーゲン濃度の増加が認められた。さらに血小板凝集試験の結果,ADP刺激ではIVIG投与開始2時間後から24時間後にかけて,またPAF刺激では投与開始2時間後に,顕著な凝集活性の低下が認められた。以上の結果から,IVIG療法による血栓症発現のリスクは,予想以上に高いものと思われた。
- 麻布大学の論文
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