健康犬血清中甲状腺関連ホルモン濃度と抗甲状腺ホルモン自己抗体の実態調査

概要

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159頭の健康家庭犬血清を採取して,市販のELISAキットを用いて抗サイログロブリン自己抗体保有状況を調査するとともに,犬用の化学発光酵素免疫(CLEIA)システムによるサイロキシン(T4)および甲状腺刺激ホルモン(TSH)濃度の基準範囲を設定した。又,人用の化学発光免疫(CLIA)システムを用いて,遊離T_4(F-T_4)濃度の参考基準範囲も設定した。T_4とF-T4濃度のデータは正規分布を,又TSH濃度のそれは対数正規分布を示した。そこで,常法に従い,各項目の平均値±2×標準偏差(TSHは対数変換データで計算)を基準範囲とした。サイログロブリン自己抗体は5頭の犬で検出された。これら5頭を除外して基準範囲を求めた結果,T_4濃度は0.61〜3.30μ9/dl,TSH濃度は0〜0.50ng/ml,又F-T_4参考濃度は0.52〜1.97ng/dlであった。上記健康家庭犬のT_4およびTSH濃度と,実験用ビーグル犬33頭および重度疾患犬35頭のそれを比較した。その結果,ビーグル犬群には原発性甲状腺機能低下症の潜在が,又疾患犬群には少なからず偽甲状腺機能低下症候群の存在することが示唆された。
麻布大学の論文