保健婦駐在の実態から駐在制度の確立に影響した要因を探る
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概要
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保健婦の駐在制度は、我が国の保健婦行政史の中で極めて特異で本県特有である。46年間に亘り制度が発展し維持できた要因は、保健婦人事等にあるとされたが、その要因に関する研究は殆ど行われていない。そこで、本研究では駐在の実態・組織、駐在の状況、看護管理者の機能、46年間の保健婦(延1502名)及び指導者41名に対する異動経歴の追跡調査、人事配置に至る実際から配置の基本事項を再構築し、制度確立と継続に影響した諸要因を探ることを目的とした。結果は、制度施行期間は46年であるが各駐在は開設年により異なる。駐在数は77をピークとし配置実数140名、異動延べ保健婦は1502名、平均在勤3.4年で殆ど全員が遠隔地の勤務を経験している。離島駐在は20ヵ所、駐在保健婦は265名で復帰後に完了している。定義による離島駐在保健婦は236名、全体の約16%、平均在勤は1.9年である。組織は看護課設置を特徴とし、課長が強い指導権限を有した。保健行政においては、保健婦係長が人事権を持ち保健婦の意向を尊重し、看護課長と連携して公平性、負担の均衡性及び配置の循環性等を厳守している。指導者は保健所、教育、行政職を循環し諸問題を共有して指導の統一性を保ち、集団的指導体制を確立している。このように駐在制度の確立要因は係長の人事権及び連携と調整機能、個の意向尊重を基本とす人事の考え方、組織と権限と責務、係長を核とする集団的指導体制等が相乗効果を持ったと推測された。
- 沖縄県立看護大学の論文
著者
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仲里 幸子
沖縄県立看護学校
-
川崎 道子
沖縄県立看護大学 看護学部看護学科
-
牧内 忍
沖縄県立看護大学
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与那嶺 尚子
沖縄県立看護大学
-
仲里 幸子
沖縄県立看護大学
-
大嶺 千枝子
沖縄県立看護大学
-
神里 千鶴子
沖縄県立看護大学
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