平均聴力閾値と語音了解閾値との関係
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概要
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"本研究では,平均聴力閾値と語音了解閾値との一致度について検討した.対象は難聴者194例(男99例,女95例)で,平均年齢は69±16歳であった.良耳の聴力レベルは17〜115dB以上で,平均52±15dBであり,ほとんどが感音難聴であった.全例に純音聴力検査と語音聴力検査を実施した.主な知見は,以下の通りであった.1.平均聴力閾値と語音了解閾値との差が10dB以内であった一致率は右耳87%,左耳83%であり,相関係数はそれぞれ右が0.837,左が0.791であった.2.平均聴力閾値と語音了解閾値とが一致していた場合,聴力型は水平型,高音漸傾型が多かった.3.平均聴力閾値と語音了解閾値との差が11dB以上であった乖離例は右耳が25耳,左耳が33耳であった.このうち,高音急墜型であった耳は右耳で9耳(39%),左耳が10耳(33%)と最も多かった.4.両閾値の乖離が30dBを超えたのは機能性難聴と診断された症例のみであった.以上の結果から,平均聴力閾値と語音了解閾値はほぼ一致するが,両閾値の差が30dBを超えた場合は機能性難聴ないしは後迷路性障害を疑うべきと思われる.また,高音急墜型の聴力図は一致しにくいことが示唆される."
- 川崎医療福祉大学の論文
著者
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吉岡 豊
川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科
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吉岡 豊
川崎医療福祉大学 医療技術学部 感覚矯正学科 言語聴覚専攻
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"吉岡 豊"
川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科
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吉岡 豊
川崎医療福祉大 医療技術
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