流動性指標に見るトレーダの行動(シンポジウム特集)
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概要
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投資家が,あまり価格を動かさずに素早く株式を売買できる市場を「流動性の高い」市場という.また,買い指値注文の中で最も高い注文の価格と,売り指値注文の中で最も安い注文の価格の差をスプレッドという.先行研究によって,流動性が比較的高い銘柄に対し,スプレッド縮小率が流動性の指標になりうることが分かっている.そこで,研究では,流動性が低い銘柄に対してもスプレッド縮小率が流動性の指標となりうるかどうかを検証した.具体的には,まず,東証1,2部の銘柄を対象に,先行研究の方法を参考にしつつ,スプレッド縮小率とある流動性指標の相関を調べた.すると,両者の相関は十分高いものとなった.次に,スプレッド縮小率以外の複数の流動性指標に対して主成分分析を行い,「流動性の統合指数」と呼べるものを作り,その統合指数とスプレッド縮小率の相関を調べた.やはり両者の相関は十分高かった.以上の分析から,スプレッド縮小率は流動性の低い銘柄についても流動性の指標と見なせることが確認できた.このことは,流動性の低い銘柄では,トレーダがアスクとビッドの間に売り(買い)指値注文を行う場合,アスク(ビッド)付近に注文を行うことを意味する.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 2007-12-15
著者
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