Individual Memory in Extensive Games and Info-memory Protocols(Session II)
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概要
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ゲーム理論は、複数の意思決定主体(プレーヤー)の相互作用に関する理論である。そこでは、推論・知識・信念・規範・情報・記憶などのプレーヤーの心的内部構造が大きな役割を果たすはずだが、既存の理論はこれらの構造を十分に議論していない。本稿では、展開形ゲームに代わるフレームワーク「Info-memory protocol」を提唱する。そして、ゲームにおける情報と記憶について議論し、「経験に基づいたプレーヤーの社会観形成」に関する研究の足がかりとする。「展開形ゲーム」はゲーム論の最も基礎的な理論の一つである。その理論は、プレーヤーが利用できる情報や、各行動のタイミングや因果関係、戦略的可能性、プレーヤーの目的、記憶などを表現している。しかし、展開形ゲームの理論は、その定式化にいくつかの困難を抱えている。展開形ゲームは、プレーヤーが「学んだこと」と「行なったこと」に関する記憶を表現することができる。ただ、「忘却」を「可能性を区別できない」という形で表現する。問題点は、「忘却」を「可能性の集合」として記述し、それらの可能性そのものは分かっていると仮定することにある。これでは、プレイヤーの記憶を有意味に論ずることはできない。また、展開形ゲームは「経験できること」と「経験できないこと」の区別がない。このような展開形ゲームの問題点を克服するため、Kaneko&Klineは「Info-memoryprotocol」を導人した。ここでは、記憶は、Information protocol における記憶関数として記述される。記憶関数によって、プレイヤーの忘却を「そもそも記憶がない」という状態として記述する。また、理論の原子的要素として、プレイヤーが経験できるものから出発する。このように上記の展開形ゲームの困難を克服し、プレイヤーの記憶と忘却を有意味にする。それによって、「各プレーヤーが自分の世界観を過去の記憶から構成する」ことの研究が可能になる。
- 2004-10-20
著者
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秋山 英三
筑波大学大学院システム情報工学研究科:京都大学大学院情報学研究科
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秋山 英三
筑波大学大学院システム情報工学研究科
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Kline Jeff
Faculty of Business, Bond University
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Kline Jeff
Faculty Of Business Bond University
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Kline Jeffrey
Faculty of Business, Bond University
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