シロクローバにおける可塑的物質分配
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概要
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シロクローバの物質分配を明らかにするために,帯広市の札内川河川敷において野生化したシロクローバの種子繁殖器官による再生産効率〔(頭花重/全地上部重)×100(%)〕と生育地の環境要因との関係を開花盛期に調査した。また,異なる生育環境から採取した集団を同一条件下に移植して,それらの再生産効率の遺伝的変異を調査した。生育地におけるシロクローバの種子繁殖器官による再生産効率は川岸から堤防に向かって連続的に減少し,植生遷移度および土壌肥沃度との間に有意な負の相関関係が認められた。植生遷移が初期で土壌養分の乏しい川岸では全地上部重の35%が種子繁殖器官に分配され,多量な種子の生産がみられた。しかし,植生遷移が進み,土壌養分に富む場所では全体のわずか4%が種子繁殖器官に向けられたにすぎず,個体維持のための栄養繁殖器官への分配率が高かった。一方,移植実験の結果では,再生産効率の集団内変異はかなり大きかったものの,集団間差は有意ではなかった。これらの結果より,野生化したシロクローバは物質分配の著しい可塑性により環境の変化に適応しているものと考えられる。また,シロクローバの生育習性と可塑的物質分配の生態的意義について考察した。
- 日本草地学会の論文
- 1986-10-31
著者
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