草地の生産力に及ぼす個体密度の影響 : 第2報 刈取頻度を異にするオーチャードグラス草地の乾物収量に及ぼす個体密度の影響
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概要
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オーチャードグラス(品種「キタミドリ」)の草地を造り,刈取り頻度を異にする草地で栽植密度が収量におよぼす影響を2年間にわたって調査し,適正密度を検討した。草地は1969年初夏にペーパーポットに播種した苗を9月に,次の設計で移植した。栽植密度は400,178,100,44および11個体/m^2の5段階とし,刈取り頻度は年3回刈りと6回刈りの2処理とした。施肥量はm^2当りCaO 25g,N 20g,P_2O_5 15g,K_2O 10gを基肥として施したほか,N 20g,P_2O_5 7.5g,K_2O 15gを各年次に追肥として施した。なお密度効果が起る範囲の最低限度の密度を適正密度と定義した。その結果の概要は次のとおりである。1)LAIに対応するNAR・CGRは前報と同様に低密度区が高かった。これは高密度区の草丈が低く,したがって生産構造も悪く,葉身の窒素濃度も低下し,その結果としてNARも低下することに主因があると考えられた。2)夏の期間には草地の再生力は高密度区ほど劣った。その理由としては,(1)刈取り時の刈株乾物重は高密度区が多いが,TAC含有率や窒素含有率は高密度区において低い。(2)刈株から再生した根は,同一刈株量に対しては低密度区が多く,この根の活性も低密度区が高密度区より大であった,などがあげられる。3)刈取り回数を年3回と6回にした場合,3回刈区では初年目の第2回刈取り以降急速に枯死個体が増加して,高密度区では65%にも達し,これが収量に大きく影響した。4)以上の諸要因の総合された結果として,年間最高収量をあげた時の個体密度は,利用初年目の場合6回刈,3回刈両区とも100個体/m^2であり,利用2年目においては44個体/m^2が最高乾物生産をあげえたが,総合して本実験条件下での適正密度は個体密度100個体/m^2前後と推論した。
- 日本草地学会の論文
- 1974-07-25
著者
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