アカクローバの生育におよぼす密度と競争の影響
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概要
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早晩生の異なるアカクローバ数品種の単植および混植,さらにアカクローバとオーチャードグラスの混植区を設け栽植密度を密,中および疎に設定し,それらの条件下における競争の影響を品種および個体のレベルで調査した。その結果を要約すると次のとおりである。1)密植条件になるにつれて,アカクローバの早生種および晩生種とも平均個体は減少したが,単位面積当り合計収量は逆に増加した。ただし早生種と晩生種との混植においては,同一栽植密度の単植の場合にくらべ早生種は個体重は増加したが,晩生種は逆に相当減収した。すなわち早生種は晩生種に対して競争力が大であったといいうる。2)オーチャードグラスとの混植の場合,アカクローバ早生種および晩生種とも平均個体重および単位面積当り収量は減少したが,その減少率は晩生種において著しかった。3)アカクローバの場合,密植単植条件下での収量から混植条件下での収量の推定はできないことがうかがわれた。4)品種内における個体生育にも品種間と同様の傾向がみられ,疎植の場合には晩生個体にも多くの多収個体が存在したが,密植および混植条件下では多収の晩生個体はほとんどみられなかった。このことは個体植え条件下における個体選抜による系統の晩生化,また普通栽培条件下における系統の早生化の可能性を示唆するものであろう。5)密植および混植条件下におけるアカクローバ個体では,初年目1番草の収量と年間あるいは2年間合計の個体収量との間に高い相関関係が認められ,初年目の草型からくる受光態勢の良否はその後の生育と密接な関係があると思われた。
- 日本草地学会の論文
- 1970-04-30
著者
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