有限密度格子QCDにおけるフェルミオン行列の様相

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我々は8^3×4格子上で,化学ポテンシャルμa=0.1,0.2,0.25の場合についてフェルミオン行列式detΔ(μ)の位相の揺らぎを調べた.μの増大につれて,位相の揺らぎも大きくなることが分かった.カイラル凝縮<ψ^^^ψ>とポリヤコフ線<L>を位相クェンチの場合と重み再定義の場合について計算したが,2つの場合の差は見られなかった.つまり,位相効果を発見することができなかった.より大きなμaの場合の位相効果の有無に興味があるが,共役勾配法による計算の収束の関係で計算ができない.そこで,準備計算として,β=5.3, μa=0.0〜1.4の範囲で計算可能性を調べた.中密度領域ではパイオン質量付近で計算が困難になり,固有値分布の解析から,0固有値が発生している場合に対応することが分かった.高密度領域では再度,計算が可能になるが,ここでも位相効果を発見することはできなかった.現在は,スカラー型計算機日立SR-11000上で並列計算により,1つの固有値の計算時間が22分程度と大幅に短縮されている.SR-11000上で1つのμaあたり,500個の固有値を計算しており,統計平均をとったヒストグラム表示も可能となっている.また,ゲージ場中のクォークの満足するDirac方程式の固有値分布を解析する理論としてランダム行列理論がある.今後は固有値空間の様相の解析に加えてランダム行列理論との比較を試みたい.

有限密度格子QCDにおけるフェルミオン行列の様相

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