北海道帯広における野生ハナバチの調査
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概要
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北海道東部のハナバチ相およびその訪花傾向の調査のため,帯広畜産大学構内においてハナバチ活動期間の1975年4月から10月までの間,毎週4時間の定時間見つけどり採集が行われ,補助採集分を含めて89種,2,430個体のハナバチが得られた。これを札幌での結果と比較すると種構成では両地域の間では類似しており,Halictidae (43.1%),Andrenidae (18.2),Anthophoridae (12.5)の順に多く,両地域間の差では,帯広においてColletidaeが少ないことと,Melittidaeの多い点があげられる。しかし採集個体数の相対頻度および優占種構成では両地域間でかなりの差があり,帯広では札幌にくらべApidae (27.8%),Anthophoridae (25.3),Andrenidae (20.2)が多く,Halictidae (20.1)が少なかった。優占種としてCeratina flavipes (16.4%),Bombus deuteronymus deuteronymus (13.4),Andrena ezoensis (8.5),Bombus diversus tersatus (6.2),Eucera sociabilis (5.7),Bombus schrencki albidopleuralis (5.3),Andrena komachi (3.9),Andrena valeriana (3.8)があげられ,これら8種だけで全体の63%を占めていた。季節消長では帯広は札幌にくらべ,雌が初春,7月中旬,秋後半に,雄が秋に少なかったが,この理由としてHalictidaeの少ないことがあげられた。札幌のハナバチ相と比較すると,帯広でのハナバチ類の分布の特徴としてBombus schrencki albido pleuralis (Skorikov),Lasioglossum (Evylaeus) kiautschouense (Strand)およびMelitta ezoana Hirashimaの存在,逆にChalicodoma scul pturalisの欠如があげられる。被訪花植物のなかでマメ科植物が採集されたハナバチの38.2%を集め第1位であり,他の北海道各地では全てキク科植物が第1位を占めていたのと比較すると特異な傾向を示した。これはマメ科植物の開花量が多かったことの他に,キク科選好性の比較的強いHalictidaeの個体数が少なかったことと,その他の地域では多くのハナバチを集めていた若干のキク科帰化植物がこの地域にはまだ侵入していないことによるものと考えられる。
- 1977-01-17
著者
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西島 浩
帯広畜産大学昆虫学教室
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西島 浩
帯広畜産大学
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坂上 昭一
北海道大学低温科学研究所
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坂上 昭一
北海道大学理学部動物学教室
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坂上 昭一
北海道大学
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福田 弘已
北海道大学理学部動物学教室
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碓井 正行
帯広畜産大学昆虫学研究室
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碓井 正行
帯広畜産大学昆虫学教室
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