ムギクロハモグリバエの未成熟期における死亡率とその要因
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概要
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北日本に広く分布する麦類の重要な害虫,ムギクロハモグリバエAgromyza albipennisの未成熟期における死亡率,死亡時期および死亡要因を確かめるため,1957〜1960年にわたって各種の調査と実験を行なった。その結果次のことが判明した。1)卵期死亡率は平均13.1%を示し,比較的低率である。2)幼虫期死亡率は,平均において夏季52.0%,秋季18.2%を示し,夏季において著しく高い。3)幼虫の死亡は大部分が若齢期に起こり,上位葉に多い傾向がある。4)幼虫の死亡数とmine内および圃場の微気象との関係,幼虫の対高温抵抗性実験によれば,温度条件は幼虫の死亡の主要因ではない。5)幼虫の棲息密度および食物条件においても,明瞭な死亡要因は確認できない。6)死亡幼虫の周辺から,ヒメコバチ科に属する5種の寄生蜂を発見した。これらは外部寄生31.4%,内部寄生20.8%,共寄生3.3%で合計55.5%に達した。7)蛹期死亡率は夏季において90%以上を示すことが多いが,秋季には一般に低い。死亡はほとんどコマユバチ科およびコガネコバチ科の寄生蜂によるものである。8)結局,本種の個体群を制限している最も重要な要因は寄生蜂群である。9)制限要因は一般に,卵期において弱く,幼虫期は中位に,蛹期において最も強く働いている。10)以上の諸結果から,本種の発生量に関する予察上の問題点について論じた。
- 帯広畜産大学の論文
- 1963-07-10
著者
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