巣状糸球体硬化症の臨床病理学的検討

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巣状糸球体硬化症の15症例の経験につき報告する。全例が原発性ネフローゼ症候群を呈し,かつ腎生検上focal and segmental hyalinosis and/or sclerosisを確認した症例である。(1)症例は副腎皮質ステロイド剤に対する反応から三群-第I群(ステロイド抵抗性のもの)4例,第II群(第I群と第III群の中間的なもの)4例,第III群(完全寛解と再発をくり返すもの)7例-に分類された。15例中7例(46.7%)が最終時点において腎機能低下を示していたが,各群を比較すると最終的に腎機能不全に至ったものは,第I群100%,第II群50%,第III群14.3%であり,これに至るまでの期間も第I群において他群より明らかに短かかった。また,第I群では,高血圧,顕微鏡的血尿の合併頻度も高く,発症後早期に既に最も高度の腎病変を呈していた。即ち,ステロイド効果と予後,合併症の頻度,および腎病変の重症度との間にはっきりとした相関が見られた。(2)糸球体のsclerosis. hyalinosisの両病変,尿細管間質病変について見ると,いずれも変化の強い例程重篤な予後を示した。(3)小児期発症例と成人期発症例とを比較すると,後者の予後は前者より明らかに不良であった。(4)本症の病因は現在のところ不明であるが,今回の検討から,少なくとも一部の症例では持続性の高脂血症が増悪因子として働いている可能性が示唆された。
千葉大学の論文

巣状糸球体硬化症の臨床病理学的検討

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