種子の長期貯蔵と包装に関する研究 : 第2報 貯蔵容器と封入物の種類の違いが種子の発芽におよぼす影響
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概要
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種子を長期貯蔵するために最近開発された防湿容器を用いて,てん菜,小麦,裸麦,水稲,人参種子を1964〜1965年に貯蔵して4〜5年間発芽率の比較を行なった。その結果,つぎのような成績を得た。1.てん菜,小麦,裸麦,水稲種子を5%まで種子水分を下げて缶詰として常温貯蔵すれば5年間の調査では発芽率は全く低下しなかった。2.てん菜種子は研磨処理によって種子容量をここ減少させて,しかも発芽率を高く維持して貯蔵できることが分った。3.密封して種子を貯蔵する場合は種子水分を5%程度に低くすれば,種子の寿命は極めて長くなるが,紙袋のように通気性のあるものは初めに種子水分を低くして置いても外気に支配されて,種子の寿命を長くすることはできない。ポリ袋の場合は紙袋より通気性が少ないため,種子水分を低くして貯蔵すれば種子の寿命を長くすることが可能である。4.ポリ袋にシリカゲル,窒素ガス,炭酸ガスの封入または真空処理した場合は,シリカゲルの封入が発芽力を維持するには最も良く,ついで真空処理であり,窒素ガス,炭酸ガスは影響が少なかった。5.防湿加工したポリ袋に種子を封入し,貯蔵後発芽率の推移を比較すると,よい発芽率を長く保持できるものは,ポリエチレンのみの場合が良く,セロファンにポリエチレンをラミネートしたものは発芽率がポリエチレンより低下した。なお本試験を遂行するに当り,供試材料の準備と包装にご協力戴いた穴吹主研,ポリ袋の材料を製作して戴いた三菱樹脂KK,小野,夏山氏,ならびに試験方法その他多くのご指導を戴いた笠井加工部長と末沢場長に対し深甚なる謝意を表します。
- 日本作物学会の論文
- 1970-12-25
著者
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