幼茶樹の生育に及ぼす暗きょ排水とかんがいの影響
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概要
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干ばっ防止上かんがいの効果は大きいが,茶園土壌が透水性不良で下層での排水が悪いとかんがいによりかえって湿害が発生する。そこで,粘質な透水性不良茶園での暗きょ排水とかんがいが茶樹の生育に及ぼす影響を検討した。<BR>定植3年目の一番茶収量は暗きょにより増加し,株張りも暗きょにより増加したび一番茶収量と株張り間には有意な正の相関が認められたことから,旧音きょによる一番茶収量の増加は主に摘採面積の増大によるものと考えられた。また,暗きょにより下層までの気相率の増加がみられ,それが一番茶収量の増加に主に影響したと考えられた。<BR>夏枝条の生育量,すなわち夏せん枝量は暗きょとかんがいにより増加し,かんがいの効果が著しかった。夏せん枝量は干ばつ時の土壌永分消費量に主に影響され,土壌水分消費量はかんがいにより増加し,暗きょ区でその増加が著しかった。土壌水分消費型は暗きょ区では漸減全層消費型,無暗きょ区では極端な表層消費型であった。<BR>秋枝条の生育量,すなわち秋せん枝量は暗きょにより増加し,暗きょなしでかんがいをするとかえって減少した。枠摘み重あいるは枝長は暗きょにより増加し,暗きょ区内ではかんがいによりさらに増加した。株張りは暗きょにより広くなり,暗きょの有無にかかわらずかんがいにより拡大が抑制され,秋せん枝量に対しては株張りが主に影響した。そして,暗きょによる下層までの気相率の増加が株張りの増加に影響し,ひいては秋せん枝量の増加につながったものと考えられた。<BR>以上のごとより,暗きょ排水の効果は大きく,常に土壌中の気相率の増加をもたらし,茶樹の生育を促進した。一方,かんがいめ効果は干ばつ時にのみ認められた。<BR>従って,透水性不良茶園での茶樹の生育にはかんがいによる水の補給より,暗きょ排水による土壌中への空気の補給が重要であると考えられる。
- 日本茶業技術協会の論文
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