チャ「芽枯れ症」に関する研究 (第1報) : 花崗岩土壌へのオガクズ牛ふん堆肥の混入がチャ「芽枯れ症」発生に及ぼす影響
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概要
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香川県下の茶園で発生しているチャ「芽枯れ症」の発生原因を明らかにするため,花崗岩土壌へのオガクズ牛ふん堆肥の混入が「芽枯れ症」発生に及ぼす影響を検討した。<BR>1. 堆肥の混入により土壌理化学性は向上した。しかしやぶきた,さやまかおりともに「芯枯れ」が堆肥混入区で発生した。また堆肥混入区のせん枝枝条の葉および枝中のCu含有率は低かった。<BR>2. 一番茶芽生育期の土壌中の0,1 NHCI 可溶性Cu含量は無堆肥区では0.3ppmであったが,堆肥混入区では0.15ppmであった。<BR>3. 一番茶での「葉先枯れ」葉は堆肥混入区で発生し,その程度はやぶきたがさやまかおりより著しかった。一番茶収量はやぶきたでは堆肥混入区が無堆肥区の1/2であったが,さやまかおりでは差は認められなかった。一番茶芽中のCu含有率はやぶきたでは堆肥混入区が無堆肥区の1/3,さやまかおりでは1/2であった。<BR>4. 一番茶の「葉先枯れ」発生葉率,Cu含有率および土壌中の0.1N HC1可溶性Cu含量間にはそれぞれ有意な相関が得られた。<BR>5. 以上のことから,チャ「芽枯れ症」は土壌中の有効態Cu含量の減少にもとづくCu欠乏症であり,0.1N HC1可溶性Cu含量が0.2ppm付近にその発生限界があると考えられた。さらに堆肥混入による有効態Cu含量の減少原因として土壌有機物によるCuの吸着が推察された。<BR>なお,本報をとりまとめるに当って懇切なるご指導を賜った農林水産省茶業試験場茶樹第3研究室長青野英也博士,土壌肥料研究室長小菅伸郎博士に対し厚くお礼を申し上げる。
- 日本茶業技術協会の論文
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