指尖血流脈波のゆらぎ解析による交感神経活動の評価とその応用

概要

論文の詳細を見る
【目的】指尖血流は指尖の血圧と血管抵抗によって規定され,心臓の自律神経や指尖の血管平滑筋の交感神経活性によってゆらぎが生じている。本研究では,(1)胸腔鏡下胸部交感神経焼灼術(以下ETS)時の指尖血流脈波のゆらぎ変化ならびに,(2)心不全時の指尖脈波のゆらぎ解析が心不全の重症度判定の指標となるか検討する。【方法】被検者を安静仰臥位とし,レーザードプラ皮膚血流計で測定した。指尖血流脈波のゆらぎスペクトルを高速フーリエ変換ソフトで解析した。【成績】ETSを施行した14例25肢では,交感神経活性を表すとされる指尖血流脈波のLF/HFの最大活性は術前8.31±6.6,術後5.34±4.3と有意に低下(p<0.05)した。また,術中モニターとしてLF/HFを測定し,焼灼時のLF/HFの上昇消失をもって交感神経遮断の成功とすることで,術中評価と手術の効果判定に成り得た。次に慢性心不全急性増悪症例47例では,LF/HFの最大活性とNYHA分類はp<0.05で相関した。左室駆出率が40%以下の症例ではBNPとLF/HFの最大活性はp<0.05で相関した。保存的加療後にLF/HFは加療前13.95±11.35,加療後7.04±5.35で有意に低下(p<0.05)した。【結論】ETS施行患者でのLF/HF測定は交感神経遮断の効果判定に有効であり,術中モニターとしても活用できることが示唆された。また,心不全患者のLF/HFの測定は,心不全状態での内因性交感神経の活性を表す一つの指標となることが示唆された。

指尖血流脈波のゆらぎ解析による交感神経活動の評価とその応用

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク