魚類アレルゲンの分離とその性質

概要

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新鮮なマダラ(Cod)から, 塩可溶性画分(I画分, II画分), アルカリ可溶性画分(III画分), 酸可溶性画分(IV画分)のアレルゲン性を確認したところ, 36kDaと12.3kDaタンパク質のみにアレルゲン性を確認した.この結果から, 12.3kDaタンパク質は, すでに報告されているパルブアルブミン(PV)であると推定した.しかし, 魚アレルギー患者血清のIgE反応では, III画分の36kDaのみに陽性反応が認められた.従って, 本研究に供した魚アレルギー患者はPVと異なったタンパク質を原因としたアレルギーであると推定した.また, 36kDaアレルゲンは, mAb PVによる免疫反応に陽性であったことから, mAb PVと免疫交叉性を有するタンパク質であると推定した.同様にサケ, マイワシ, サンマ, カレイのアルカリ可溶性画分(III画分)についてmAb PV及び患者血清による免疫反応を行った.しかし, マダラIII画分のように明確なアレルゲンは認められなかった.マダラIII画分は, 酸性溶液(pH2〜6)において100℃で加熱すると抗体結合性が約50%低下したが, アルカリ溶液(pH7〜10)においては同条件で加熱しても大きな変化は認められなかった.従って, 本アレルゲン画分はアルカリ性での加熱に対して耐性であると推定した.
武庫川女子大学の論文