塞栓術後の髄膜腫における適切な腫瘍摘出術の時期の検討

概要

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背景 : 髄膜腫において術前の選択的塞栓術は,術中の腫瘍からの出血を軽減させ,また腫瘍軟化により摘出し易くさせる方法の1つとして確立されている。今回,塞栓術から手術施行までの期間と術中の輸血量を比較し,塞栓術後の手術最適期間を検討した。対象 : 1990年4月から〜2004年4月の問に北里大学病院にて治療された183例の髄膜腫のうち,術前塞栓術を施行した93例を対象とした。男性29例,女性64例で,平均年齢54.7歳。発生部位は,大脳半球円蓋部19例,蝶形骨縁部19例,傍矢状洞部17例,大脳鎌部8例,小脳橋角部5例,テント部6例,錐体斜台部8例,嗅溝部4例,その他7例であった。方法 : 塞栓術は,provocative test後,まず粒状塞栓物質を注入し,腫瘍内の血管を塞栓し,その後必要に応じて栄養血管近位部をプラチナコイルで塞栓した。塞栓物質は,polyvinyl alcoholまたはプラチナボールとプラチナコイルを使用した。まず,術中輸血量に影響を及ぼす因子について解析を行い,次に塞栓術後手術までの期間と術中の輸血量を比較し,適切な手術時期を求めた。結果 : 輸血量増加に関係する因子は,年齢,塞栓術から手術までの時間,内頸動脈分枝からの栄養の有無の3項目であった。また,術中輸血量から求められる適切な手術時期は,塞栓術後24日以内であった。結論 : 髄膜腫の術前塞栓術を非吸収性塞栓物質で行えば,その後の摘出術は24日以内に行えばよいと考えられた。
北里大学の論文
2005-12-31

塞栓術後の髄膜腫における適切な腫瘍摘出術の時期の検討

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