PVD法によるMg合金上Ni-Sn合金めっき(第1回論文特集号)

概要

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マグネシウムは,実用金属中で最も軽い材料で,その合金の比強度や比剛性は高いなど,優れた特性を数多く持っているが,卑な金属であるため,耐食性や耐摩耗性に劣るという欠点のために実用化が遅れているのが現状である.そこで,マグネシウム合金の新しいめっき法として,ニッケル・スズ積層単相膜の加熱による合金膜形成法のマグネシウム合金への適用を試みることとした.スパッタリング法および真空蒸着法によってニッケル・スズの順に積層した多層膜を形成後,300℃および400℃で熱処理を施して合金化させた.そして,マイクロビッカース硬さ試験,SEM-EDXによる皮膜断面の定量分析およびX線回折による皮膜中の相の同定,腐食試験,密着性試験を行い,耐食・耐摩耗性に優れた皮膜形成法について検討した.その結果,Ni_3Sn_4やNi_3Sn_2といった耐食性や耐摩耗性に優れた化合物が形成されていることがわかった.また,腐食試験の結果PVD法によるニッケル・スズ積層合金膜はマグネシウム合金の耐食性向上に効果が確かめられたが,その耐食性はまだ十分とはいえない.
2007-05-14