クロハナムグリの生活史および訪花植物
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概要
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クロハナムグリの生活史を屋外飼育実験により推定した。その結果,本種は年1化性であり,成虫の活動期間は4月下旬から8月下旬であった。幼虫は3齢が終齢であった。産卵は初夏に行われ,8月中旬には新成虫となり地上に出現した。しかしながら,野外において晩夏から秋季にかけて成虫を発見できないことから,自然状態では新成虫は羽化後も朽木内に留まり,そのまま越冬すると考えられる。初年度の越冬態は成虫であり,翌春に休眠から覚めた成虫は地上に出現し,摂食活動と生殖活動を行った。なお,成虫の一部は2年間生存し,2回の繁殖期があった。野外においても体表が磨耗し2年間生存していると推測される個体が時折確認されることから,一部の個体は自然条件下においても多回繁殖を行っていると考えられる。成虫の寿命は1年から2年であった。これらの結果から本種の生活史型は,年1化・成虫越冬・多回繁殖型と言える。このように,クロハナムグリは一部の成虫による多回繁殖という戦略を持つことによって,朽木という数少ない餌資源を長期に探索し,次世代を残すことが可能な能力を備えていた。なお,成虫の訪花植物について調査した結果,1綱7目8科23種が確認された。
- 東京農業大学の論文
- 2007-06-20
著者
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竹内 将俊
東京農業大学短期大学部環境緑地学科
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飯嶋 一浩
東京農業大学短期大学部
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飯嶋 一浩
東京農業大学短期大学部環境緑地学科
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竹内 将俊
東京農業大学短期大学部
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飯島 一浩
東京農業大学短期大学部環境緑地学科
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