新収集資料に見る大正〜昭和初期の樟蔭学園 : 樟蔭学園草創期資料のデータベース化とその活用(5)
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概要
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本稿では二〇〇六年四月から八月までの間、筆者が新たに収集することができた樟蔭学園関係資料を紹介しながら、それらから窺い知ることができる、大正〜昭和初期の学園の実態について考察した。 まず、二つの絵葉書セットを紹介した。一つは一九二五年四月以前の大正期に発行されたもので、それら十九枚の絵葉書は、樟蔭高等女学校の優れた施設・設備を印象付ける内容となっており、設立に関わった人々が理想としたところを読み取ることができる。また、一九三五年の会館完成間もない時期に発行されたと考えられる。もう一つの絵葉書セット七枚は、昭和一桁代の時期に定着した「樟蔭ブランド」を象徴するものとなっていることを指摘した。 次に、一九一八年の樟蔭高等女学校開学とともに着任し、一九三七年までの約二十年間、学園の教育、特に体育教育を支えた朝輝記太留氏の経歴や同時代評価、さらには新たに収集、確認した著述を紹介した。そしてそれらから、初期においてはスウェーデン式体操の普及に大きな役割を果たしていた朝輝氏が、樟蔭着任前後からは、学校ダンスの指導者として活躍したことを確認した。さらに、朝輝氏の体育教育、特にダンスは当時の「最先端」にあったことも指摘した。ただ当時の社会的状況を反映して、昭和初期のそれには、国家主義的思想を助長する一面を内包していたことにも注意を喚起した。
- 2007-03-20
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