樟蔭学園の有する文化遺産<近代建築>とその教材化の試み : 「文化財論」の講義記録 (2)
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概要
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樟蔭学園は、昭和初期を代表する和洋折衷の近代住宅建築として国の登録有形文化財となった樟徳館をはじめとして、学園創立10周年を記念し建築された記念館、学園創立当初の校舎の一部を移築保存した樟古館といった、学園の歴史を物語る近代建築を有している。これらの近代建築は、独り樟蔭学園の歴史にとどまらず、大正期から昭和初期にかけての近代建築史、あるいは近代教育、とりわけ女子教育の歴史を考える上で貴重な素材でもある。 筆者は、大阪樟蔭女子大学学芸学部日本文化史学科の必修科目「文化財論」を担当している。その講義の中で筆者は、文化財を保護し、それを将来に伝えることの意義や課題について考えさせる際、登録有形文化財を中心とする近代建築を取り上げ、なかでも本学園の有する文化遺産としての樟徳館や記念館を教材とした講義を構想し、授業を展開してきた。本稿では、生駒ビルディングや綿業会館を重点的な見学場所としながら、大阪市内の近代建築を対象として実施した学外授業をも含む、その講義内容を記録し、報告する。 なお、講義では、受講生に樟徳館や記念館の保存、活用計画案を立案させることも試みた。本稿では、その概略についても紹介する。文化遺産としての樟徳館や記念館、樟古館の保存、活用の実現は、今後、学園が真剣に取り組んで行かなければならない社会的責務であると考える。受講生の計画案の中には、その参考となる点も少なくない。
- 2004-03-06
著者
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