千葉市における神経難病の疫学的調査(第二報) : 脱髄疾患・筋疾患の有病率について
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概要
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昭和58〜59年千葉市において,運動ニューロン疾患,脊髄小脳変性症,パーキンソン病,ハンチントン舞踏病,多発性硬化症,重症筋無力症および進行性筋ジストロフィー症の7疾患について,1年間の悉皆的疫学調査を行なった。前回(第一報)はこれらの中,神経変性疾患である前半4疾患について報告したが,今回(第二報)では,残りの3疾患について報告した。調査方法は(1)市中病院,診療所に対するアンケート調査,(2)特定病院・施設における当科医師による資料調査および(3)厚生省特定疾患調査研究対象受給者調査の三方式を採用し,調査(1)(2)での漏れを(3)で補足した。3疾患について総数167例がリストアップされた。これらより他疾患を除き,千葉市内生存を確認した上で,昭和59年1月1日現在の有病数を求め,多発性硬化症28例,重症筋無力症54例および進行性筋ジストロフィー症18例が確認された。時点有病率(人口10万人あたり)はそれぞれ3.6,7.0,2.3であった。日本における過去の報告では,これらの疾患の時点有病率は,多発性硬化症0.7〜5.7,重症筋無力症0.4〜6.7,進行性筋ジストロフィー症2.6〜5.5が知られている。これらに比して今回のわれわれの結果では,多発性硬化症は,同等であったが,重症筋無力症は,高値を示しており注目された。本症の有病率高値には,近年の診断知識の普及が影響していると思われた。また,眼筋型の中の症状寛解状態にあるものを除いても高値を示した。進行性筋ジストロフィー症は,やや低値を示した。進行性筋ジストロフィー症の低値には,千葉市に隣接する市内(今回の調査圏外)にある施設の存在が影響しているものと思われた。
- 1989-11-01
著者
-
平山 惠造
千葉大学医学部神経内科学講座
-
得丸 幸夫
得丸医院
-
得丸 幸夫
千葉大学 神経内科
-
平山 惠造
Jr東京総合
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得丸 幸夫
千葉大学医学部神経内科学講座
-
山田 達夫
千葉大学医学部神経内科学講座
-
平山 惠造
千葉大学医学部神経内科
-
山田 達夫
千葉大学医学部神経内科学教室
-
山田 達夫
千葉大学医学部神経内科
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