脊髄横断面等電位図による下行性伝導性脊髄誘発電位の波形起源に関する研究

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脊髄誘発電位の臨床的有用性に関してはすでに多くの報告があるが,測定条件の相違により波形が異なることもあるので,波形起源および波形解析による機能的診断に関してはいまだ多くの問題点がある。脊髄刺激による伝導性脊髄誘発電位(C-SpEP)の基本波形は初期スパイク電位P_1-N_1とそれに続く多相性電位P_2〜N_4からなる。本研究ではC-SpEPの発生起源を検索する目的で,麻酔ネコを用い腰膨大部脊髄横断面半側の格子状41点より活動電位を導出し,同一潜時における電位補間により等電位図としてカラー表示した。得られた等電位図より以下の結果を得た。(1)初期スパイク波P_1-N_1のP_1潜時等電位図では,Rexed VI〜VII層に陽性電位のピークが見られ,またN_1潜時では側索後部および前索に陰性電位のピークが分布していた。これらP_1-N_1成分は,高頻度刺激により得られた等電位図においてもピークの局在,振幅ともに変化がなく,それぞれ脊髄内に分布する大径線維を伝導する活動電位のcurrent source, sinkに相当すると考えられた。(2)N_4潜時においては後索および後角に広く陰性電位のピークが見られ,高頻度刺激において特に後角部分の振幅低下が著明であった。N_4成分は後角細胞の活動および後索線維の活動電位を反映していると考えられた。以上,脳波解析用に開発されたトポグラフィーシステムを応用した本法による等電位図は,比較的簡便であり,またカラー表示による視覚的効果も加え,C-SpEPの各波形成分の起源を解析する上で極めて有用であった。
千葉大学の論文
1987-10-01

脊髄横断面等電位図による下行性伝導性脊髄誘発電位の波形起源に関する研究

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