脊髄髄内病変に対する術中脊髄モニタリングの臨床的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
脊椎・脊髄手術において,特に脊髄内操作を行う症例では術中に脊髄機能をモニターすることが極めて重要である。本研究の目的は,脊髄髄内病変を有する症例の脊髄刺激・脊髄記録による脊髄誘発電位(C-SpEP)の波形と神経症状の変化を再検討することにより,本法の有用性と限界について考察することである。対象は脊髄髄内腫瘍33例および脊髄空洞症15例の計48症例である。C-SpEPは主に下行性最大上刺激にて記録し,硬膜切開後のコントロール波形に対する振幅変化と術直後の神経学的変化を比較検討した。コントロール波形は,スパイク成分とそれに続く多相性成分が識別可能なType Iと低振幅な多相性成分のみのType IIおよび記録可能なType IIIに分類された。Type Iが32例,Type IIが12例で,神経学的には後者がより重篤であり,Type IIIの4例は術前よりすでに完全麻痺の症例であった。Type I 32例中9例に術後運動機能と温痛覚の悪化が認められ,スパイク成分の振幅が有意に低下していた。また,30%以上の振幅低下は重篤な神経合併発症の危険域と考えられた。さらに,Type I 18例に後索機能の悪化を認め,これらにおいては多相性成分の振幅が有意に低下していた。Type II症例では,振幅変化と神経症状の変化との間には明らかな関係はなかった。なお,Type I症例のうち4例が運動機能に関してfalse negativeと考えられたが,これらは本法の限界であった。C-SpEPは脊髄髄内病変を有する易損性脊髄の術中監視においても安定した記録が可能であり極めて有用であった。しかし,今後より完全な脊髄機能の評価を行うためにはmultimodalityなモニタリングが必要である。
- 千葉大学の論文
- 1996-12-01
著者
-
加藤 大介
君津中央病院整形外科
-
村上 正純
千葉大学 整形外科
-
村上 正純
千葉大学医学部
-
後藤 澄雄
千葉大学医学部整形外科学教室
-
加藤 大介
千葉大学医学部整形外科学教室
-
後藤 澄雄
塩谷総合病院(厚生連) 整形外科
関連論文
- 対麻痺が癌の初発症状となった転移性胸髄髄内腫瘍の1例
- 32. 交感神経活動時のヒト皮膚機械的刺激受容器の感受性変化(第892回千葉医学会整形外科例会)
- 1. TKA施行時に腓骨神経麻痺が危惧された高度外反膝の1例(第986回千葉医学会整形外科例会)
- 同一高位に両側砂時計腫を呈した多発性脊髄神経線維腫の1例
- 下肢長管骨骨折に対するMIPO
- LCPを用いた脛骨遠位部骨折の治療
- 脛骨遠位端骨折に対する治療戦略 : 内固定か創外固定か
- 頚椎損傷に対する前方ロッキングプレート固定症例におけるX線学的検討
- 23. 頚椎損傷に対する前方ロッキングプレート固定 : X線学的検討を中心として(第1081回千葉医学会例会・整形外科例会)
- 馬尾症状をともなう腰部脊柱管狭窄症に対する片側進入両側除圧術の検討
- 腰椎変性側弯症に対する凹側片側PLIFの検討
- 神経症状をともなう胸腰椎破裂骨折に対する間接的整復固定および経椎弓根的HA移植術の検討
- 29. 特異な形態を示したdermoid cystの1例(第1033回千葉医学会例会・整形外科例会)
- 胸椎後縦靱帯骨化症に対する各種術式の成績と術式選択に関する検討
- 2. 後側方到達法により矯正位を得た陳旧性環軸椎回旋位固定の1例(第967回千葉医学会整形外科例会)
- 1. 頸椎部に発生したpigmented villonodular synovitisの1例(第967回千葉医学会整形外科例会)
- 後縦靭帯骨化症患者における血清レプチン値の検討
- 経頭蓋電気刺激・脊髄誘発電位(MEP)による術中脊髄モニタリング
- 圧迫性頚髄症における脊柱管拡大術(広汎方式)の脊髄除圧効果と適応
- 6. 胸椎椎間板ヘルニアに対する前方摘出術の2症例(第950回千葉医学会整形外科例会)
- 多発性髄内血管芽腫の1例
- 症例報告 パーキンソン病に合併した第4腰椎変性すべり症の1例
- 大腿骨転子部骨折の手術成績 : DHSとPFNのCCTによる比較検討
- 下肢長管骨骨折に対するLCPによる治療 : その有用性と問題点
- 橈骨遠位端骨折に対する Locking Compression Plate の使用経験
- 〓骨高原骨折の治療経験
- 寛骨臼骨折に対するIlioinguinal approachの治療成績
- 創外固定による橈骨遠位端骨折の治療
- 外傷性頚髄損傷の急性期MRIによる予後予測
- 15. 脊椎麻酔を契機に発症した癒着性くも膜炎の1例(第912回千葉医学会整形外科例会)
- 14. Triple shuntが著効を呈した外傷後脊髄空洞症の1例(第912回千葉医学会整形外科例会)
- 13. 胸髄硬膜内嚢腫の2症例(第912回千葉医学会整形外科例会)
- 12. 後側方侵入にて摘出したC1-2砂時計腫の1例(第912回千葉医学会整形外科例会)
- 11. 頚椎flexion myelopathyの1例(第912回千葉医学会整形外科例会)
- 7. 巨大胸髄砂時計腫の1例(第912回千葉医学会整形外科例会)
- 腰仙部における巨大なepidermoid cystの1治験例
- 術中脊髄モニタリング876症例の検討
- 脊髄髄内病変に対する術中脊髄モニタリングの臨床的研究
- 26. MEPによる術中脊髄モニターを行った外傷性頚椎脱臼の1例(第931回千葉医学会整形外科例会)
- 6. Ehlers-Danlos症候郡に合併した多発性くも膜嚢腫の1例(第931回千葉医学会整形外科例会)
- 3. 腰仙部における巨大Epidermoid Cystの1治験例(第931回千葉医学会整形外科例会)
- 2. 胸椎後縦靭帯骨化症に対する術式として後方除圧固定術を選択した1例(第931回千葉医学会整形外科例会)
- 1. Magerl法による環軸椎固定術を行ったDown症の1例(第931回千葉医学会整形外科例会)
- 脊椎麻酔を契機に発症した腰仙部癒着性くも膜炎の1例
- 胸椎後縦靭帯骨化症の手術成績と術式選択基準の検討
- 頚椎 flexion myelopathy に対する手術治療 : 硬膜形成術の効果について
- 頚椎後縦靭帯肥厚の機序 : 抗PCNA抗体による免疫組織化学的検討
- 頚椎 flexion myelopathy 手術症例の検討
- 陳旧性環椎間回旋位固定に対する前方アプローチと側方アプローチの手技・適応・意義.
- 脊髄髄膜腫再発に関する研究
- 18. 急激に麻痺の進行した特発性脊髄硬膜内血腫の1例(第967回千葉医学会整形外科例会)
- 頚椎症性筋萎縮症の病態と治療成績
- 3. 成人にて発症した腰仙部硬膜内脂肪腫の1例(第950回千葉医学会整形外科例会)
- 1. 外傷に起因すると思われる胸腰椎硬膜外クモ膜嚢腫の1例(第950回千葉医学会整形外科例会)
- 7.脊髄損傷に対する大網移植の1治験例(第840回千葉医学会整形外科例会)
- 28.胸・腰椎脊髄損傷のSEPによる高位診断(第738回千葉医学会整形外科例会)
- 7.脊髄誘発電位による二分脊椎の新生児期神経障害評価について(脊髄損傷)(第21回日本リハビリテーション医学会総会)
- 52.脊髄造影後,急性増悪をきたした脊髄腫瘍の1例(第840回千葉医学会整形外科例会)
- 脊髄腫瘍術後のカウザルギーに対し硬膜外科脊髄電気刺激が有効であった1例
- 2. 診断に難渋した円錐部髄内出血の1例(第950回千葉医学会整形外科例会)
- 胸椎椎間板ヘルニアに対する側方侵入前方除圧術(非固定)の術式と臨床成績
- 頚椎手術後の項部愁訴および可動域制限に伴うADl障害についての検討
- 脊髄髄内病変に対する術中脊髄モニタリングの検討
- 頸椎後縦靱帯骨化症例の長期手術成績からみた前方摘出手術の成績向上と適応拡大について
- 22. 脊髄空洞症に対するS-S shunt施行例の検討(第892回千葉医学会整形外科例会)
- 17. Fabella syndrome様腓骨神経麻痺を呈したentrapment neuropathyの1例(第853回 千葉医学会整形外科例会)
- 65.外傷後坐骨神経損傷によるRSDの1例(第853回 千葉医学会整形外科例会)
- 4.皮膚髄節刺激皮下導出法による腰部分節性脊髄誘発電位測定の試み(第757回千葉医学会整形外科例会)
- 9.教室におけるKantenabtrennung症例の検討(第701回千葉医学会整形外科例会)
- 教室における胸椎部脊柱靭帯骨化症手術例の検討
- 13. 成人期まで放置された筋性斜頸の治療経験(第892回千葉医学会整形外科例会)
- 麻痺のない高齢者の胸腰椎破裂骨折(椎体圧潰)に対する前方再建術の経験
- 下肢長管骨骨折に対するプレート固定法 : absolute stability から relative stability へ
- 大腿骨転子部骨折に対する Trochanter Stabilizing Plate の使用経験
- 大腿骨顆部・顆上骨折に対する生物学的プレート固定
- 86. 大腿骨骨幹部骨折に対する髄内釘の治療経験 : Unreamed Femoral Nail (UFN)とreamed nailの比較検討(第986回千葉医学会整形外科例会)
- 下肢長管骨骨折に対する最近のプレート固定法
- 大腿骨骨折に対する unreamed femoral nail の使用経験
- 化膿性脊椎炎の保存的治療 : MRI像の変化の検討
- 下位腰椎 Pedicle Screw 固定術後隣接椎間障害の検討 : その発生をいかに予防し得るか
- 71. 大腿骨頸部骨折に対する人工骨頭置換術の検討 : セメント使用例とセメント非使用例の比較(第967回千葉医学会整形外科例会)
- 化膿性脊椎炎のMRI像 : 経時的変化の検討
- Pedicle Screw 固定術後早期に発生した隣接椎間障害の検討
- 新しい骨接合材料 PC-Fix (Point Contact-Fixator, AO/ASIF) による前腕骨骨折の治療
- 下腿開放骨折に対する Unreamed Tibial Nail (UTN) の適応と問題点
- 67. AO法による足関節果部骨折の治療成績(第950回千葉医学会整形外科例会)
- AO法による高齢者の大腿骨顆部顆上骨折の治療経験
- 椎間板性腰痛に対する後方固定術 : その適応と限界
- 47. 実験的脊髄損傷に対するアデノウィルスベクターを用いた神経栄養因子遺伝子導入(第1033回千葉医学会例会・整形外科例会)
- 1. 多発胸椎病変に対し電気生理学的手法にて責任高位を診断し得た1例(第1001回千葉医学会整形外科例会)
- 頚椎症性筋萎縮症に対する保存療法の限界と手術療法の適応
- 脳由来神経栄養因子(BDNF)は実験的脊髄損傷におけるoligodendrocyteのアポトーシスを抑制する
- 脊椎脊髄疾患における術中経頭蓋電気刺激-複合筋活動電位CMAP(compound muscle action potentials)に関する検討
- 頚椎後縦靭帯骨化症の骨化進展と骨塩量・骨代謝マーカーの検討
- 思春期特発性頚椎後弯症の検討
- 27.当院におけるTADの概要について(第654回千葉医学会整形外科例会)
- 18.脊椎前方法,及び後方法における術前後ミ***グラムの検討(第654回千葉医学会整形外科例会)
- 17.CT discogrophy(第2報)(第654回千葉医学会整形外科例会)
- 55. 足関節部骨折(Pilon骨折)の観血的治療 : 当科における最近の手術法(第876回千葉医学会整形外科例会)
- 10. 脊髄症状を呈した頸椎椎弓部外骨腫の1例(第892回千葉医学会整形外科例会)