知的障害者施設利用者の口臭について

概要

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北海道内にある知的障害者更生施設の利用者54名を対象に,呼気中の揮発性硫黄化合物の濃度(口臭値),舌苔量,DMF歯数,義歯の使用,Plaque Index,およびGingival Indexを測定した.また,障害の程度,介護の必要度,歯磨きの自立度,他覚的口臭の有無について,施設職員に対して質問調査を行った.周囲から感じる口臭(他覚的口臭)については,約22%の利用者が「常に感じる」あるいは「時々感じる」と判定された.揮発性硫黄化合物濃度の平均値は65.6 ppbであり,男女間に有意な差はみられなかった.介護の状況,歯磨きの自立度別では,口臭値の平均値に有意な差は認められなかった.重回帰分析の結果,舌苔量が口臭値と有意な正の相関を示した.それ以外の指数との間に有意な相関は認められなかった.以上,本調査対象施設では,一般の成人集団と比較して口臭の程度はやや高いものの,明らかな差はなかった.本施設では,口腔ケアの取り組みが熱心であり,また歯科医療機関へのアクセスも容易であることが関係しているものと思われる.
有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
2007-01-30